(高藤洋)




    夏休みのことだった。
    ある1通のメールが来た。

    「洋、たまにはこっちの町戻ってくれば?」
    という。

    彼女・・櫻井花蓮からだ。

    俺の彼女のことは友達になった優馬や花梨には一切喋っていない。
    言ったところで何になるのか。
    絶対優馬はしつこいと思うし。

    一応、渉兄ちゃんには行くと連絡は入れた。
    洸兄ちゃんや親には絶対言えないし。
    家族で1番信頼で来るのは・・今のところは渉兄ちゃんだけだし。


    当日は渉兄ちゃんと花蓮と、
    花蓮の双子の兄ちゃんで同じミニバスクラブだった、宏太も一緒だという。
    宏太は当時のキャプテンで、一番気にかけてくれた親友だ。

    そして、4人ででかけた後、花蓮の家へお邪魔させてくれるらしい。




    当日。

    朝に部活の顧問の先生に休む断りを入れて、駅に向かった。
    優馬と花梨には「ちょっと前住んでたとこ行く」とは言ってあるから、
    2人とも駅まで送ってくれた。

    「また兄ちゃんと喧嘩すんじゃねーぞ!」
    と優馬に言われるが。
    「わかってるよ。洸兄ちゃんは部活引退してるからずっと塾かもって渉兄ちゃんが言ってたし」
    「どうかなー?」
    「お前うるせーな。じゃ、行ってくる」



    前の住んでいたところ・・南市についた。

    「あ、洋ー!」
    そう花蓮に言われ、俺らは合流できた。

    「久しぶり、花蓮、宏太。そして渉兄ちゃんも。」
    「久しぶり。」「おう!」「久しぶりだなー。元気だった?」

    そしてまず向かったのはデパートだった。
    俺に気を遣っているのか、少し遠いところに行ってくれた。


    俺らはデザート屋でタピオカを買い、少し休憩していた。

    「洋ってもう1回バスケ続けてるの?」
    「うん。体は万全になったし、バスケは大好きだから」
    宏太に言われ、俺は答えた。続いて、渉兄ちゃんも話に入ってくる。

    「俺ら西一中は中体連では地区準優勝だったよ。でも県で1回戦で負けた」
    「はい。陸也先輩と洸先輩のコンビネーションが凄かったけど、県大会前に陸也先輩も多少の怪我が・・。」

    など、向こうのバスケ部の話をいろいろ聞いた。
    懐かしい人たちばかりだなぁ・・・。

    「ところで花蓮はどこの部活入ってるの?」
    「私はねー、テニス部入ってるよ!周り上手だからあまりついていけてはいないけど・・」

    テニス部か・・。

    「洋たちのところは中体連どうだった?」
    「俺らのとこ?・・いいところまで行ったけど、俺らの地区バスケ強いからなぁ・・・。」





    そう話をし、夕方近くなってきた。
    渉兄ちゃんと宏太はこれから部活だというから、帰った。

    そして花蓮に
    「ちょっと話あるの。どこかの公園寄らない?」
    と言われた。


    「あのね・・。私さ、洋とは友達に戻りたい」
    「は?・・って別れたいってこと?」
    「うん。洋のことが嫌いになったわけじゃないよ。ただ・・」
    「ただ?」
    「私には遠距離恋愛は向いていないのかもしれない。ただそれだけ。洋は何も悪くないよ。私の決断だから」
    「・・花蓮がそういうなら俺も何も言わないよ。」
    「うん。ありがとう」


    花蓮と別れて後悔は・・あるのかもしれないけど、
    2人とも納得のいった別れ方だから。すっきりできているのかもな。


    じゃあ、今度は俺は優馬と花梨の両片想いを大樹先輩と一緒に見守るか・・。

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