とうとう俺と遼太は動き出した。七田のところへ。
俺はすでに想いを伝えているが、保留のまま、半年がたとうとしているんじゃないか。
俺は恋愛に関しては空回りしてばかりだと思う。
早紀さんのことでもそうだ。あれから宙夢先輩に話を聞くと、早紀さんが俺のことを好きだったのは昔からで、早紀さんが宙夢先輩と付き合ったのは宙夢先輩が一方的に早紀さんのことを好きで、一生懸命やってたら付き合うことができた、と言っていた。
もうちょっと早く、早紀さんの気持ちに気づいていれば…とか思ったけど。
今は、同じ学年の……七田美幸のことが好きで。最初隣の席で、宙夢先輩のいとこということもあって話が合い、さらに仲良くなった遼太が七田と親しいため、よく喋るようになった。
遼太が七田のことを好きだと知っていながら、俺はあいつを好きになった。
最初はとてもめんどくさい関係になってしまったな、とか思ってて今年の4月に遼太に気づかれるまでは黙っておいた。
「あーもうどーすりゃいいんだ…」
考え事をしていて、思わず口に出してしまった。
横にいた隆司に、「大丈夫ですか?」と言われる。
そーだ今は、部活終わった直後。
「恋愛ってなんでそう簡単にうまくいかないんだろーねー」
俺は隆司にそう言った。
「相手の気持ちをわかってないと上手くいかない…俺もそうでした。まあ俺の場合はじめは好きで付き合ったわけじゃないんですけど」
「そっか隆司って、樹咲と付き合ってたもんな。そしてお前もいろいろあったしな」
「はい。先輩は……あの、吹奏楽部の人が好きなんですよね?たしか、美幸先輩。」
「そっかそこまで知れ渡ってるっけ、バスケ部には。そうだよ。」
「美幸先輩が渉先輩の元カノってことは学校中に知れ渡ってますけどね、」
…そう。渉と七田が元恋人同士っていうことは学校中に知れ渡っている。
どうしてかはわかんない。
2日後の放課後、美化委員のゴミ当番で俺と七田が同じだった。
2人きりになるとかかなり久しぶりだし喋ること自体久しぶりなのかもしれない。
ある程度仕事が落ち着いたときに、俺は話しかけた。
「七田、お前……忘れてねえよな」
「………告白の返事?」
「…忘れてなかったのか。」
「忘れるも何も、いつ言えばいいのかわからなかったから。」
「そっか。」
「…ついさっきね、遼太に告白されたの。 」
「…で?」
俺は特に感情も込めずに返したが、内心はとても焦っている。
…あいつ、いつの間に。
さっきってことは昼休みなのかな。昼休みに渉と直哉が遼太のことを探していたし。
「本当は、一真の気持ちに答えたいって思った。でも、また、気持ちが整理できなくなった。」
「…遼太のことでか」
「うん。てか、迷いがあるっていうのかな。」
「…別にいつでもいいよ。忘れてなければ。」
「ありがとう。ごめんね、待たせてばっかで」
こいつに無理させるよりも、じっくり考えてもらってからのほうが俺はいい。しかも遼太もかかわってんだし、余計に。
その2週間後、部活は廊下練習。2年の教室のある階。
はじまる前に、2Aの前を通ろうとしたら、声がした。
遼太と七田だ。
話をこっそり聞いていた。
「わ、私もね、遼太と付き合いたいっておもってる。でも…」
「んな奴気にすんなよ。」
「でも…」
「俺に気持ちあるのはわかったけど、邪魔なのもまだいるようで。」
「…」
「一真お前いんの知ってるからな。出てこいよ、隠れられてるほうが気分悪い」
あ、ばれてた。
まーいっか。
俺は思っている事を言った。
「話はだいたいわかったよ。2人でハッピーエンドになりゃいい話なのにさ。俺いつまでも邪魔者になりたくないからね」
「ごめんね…。そして、ちゃんというよ。私、遼太と付き合うことに決めたから」
「いや、でも混乱させた俺のほーが悪いや。そして遼太もあんまし言い過ぎんなよ。俺の分も幸せになれよ。」
「…わかってるよ。…俺こそごめん。」
あーあ、予想はしてたけどやっぱり遼太のところにいっちゃったかー。
俺は静かに出て行った。
2人が幸せになればそれでいい。
俺は2度目の片想いを、今、終わらせた。
下校中。
「一真ー。聞いたよー。お前振られたんだってなー。」
途中で、冬樹に遭遇した。
こいつには最初から最後までいろんな相談をした。こいつは再来月ぐらいで彼女と一年だしな。
「んなこと大声で言うなよ馬鹿野郎。まー、後悔はしてないからいっさ。でも周りみんなリア充になってくなー。」
「あー、それはな。」
「冬樹もな。」
「まー。そんな焦るなって。ちゃんと最後まで互いに好きでいられる、最後まで愛せる人に出会えよ」
「出会えるかなー。」
「そんなこと言うなって。」
そこから2人でいろいろ話して帰った。
さよなら、俺の好きな子。
幸せになることを願う。
次の恋は、どんな恋になるのかな。
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