俺には年上の彼女がいる。
今は高3で、西星高校の特進科。
男バスのマネージャーもやってるそうだ。
彼女の名前は吉田柚花という。
柚花さんは同じ中学で、女バスのキャプテンをやっていた。でも中体連の時に大怪我をし、バスケを続けるのは難しいと言われていた。
俺と柚花さんの出会いは俺が小6の時。
いつも公園で洋とバスケをしていたけど洋はいろいろあって転校。その時に俺が調子悪そうにしていたところ、柚花さんに「大丈夫?」と話しかけられたのだ。
そうしていくうちに俺の方から好きになっていって、中学にあがったばかりの頃に友達のせいで想いが柚花さんにバレ、付き合うことになった。
高校にあがると同時に隣町に引っ越すと言われ、そこから遠距離恋愛がはじまった。
…で、桜高に入学して二ヶ月がたった今。
桜高と西星高校は同じ市内にある。
でもなかなか会えることはできない。
電話やメールばかりだ。
土曜日に部活が終わったあと、隆司の家の近くの公園でバスケしようと言う話になり、
俺と洋、伊月、隆司、成先輩、宙夢先輩、洸先輩、渉先輩、一真先輩、浩紀先輩と行った。
公園に入ってコートのあるとこに行くと…
「あれー、浩紀とあと…宙夢に一真に隆司!久しぶりだなー」
と宙夢先輩たちに話しかけてきた人が居た。
「うっわなんで兄貴いんだよ」
「いいだろ。部活の3年で来てんだよ」
浩紀先輩のお兄さん…だった。
よく見るとジャージは…西星だ。
たしか浩紀先輩のお兄さんは西星の男バスキャプテンだと聞いた。
ってことは…
「怜くんー、飲み物これでいいー?」
「ああ、サンキュ、柚花。」
…やっぱりいたか…。
「って桜高もいるのね………。え、ちょっとまって、もしかして宏太!?」
俺は頷いて、
「……そうです。櫻井宏太です。会うのは久しぶりですね、柚花さん。」
と答えた。
その後、浩紀先輩が俺をひっぱり、みんなから離れたところへ連れていった。
「宏太、知ってんのか?柚花さんのこと。」
「小中同じでしたから」
「…そうか。」
「…あと、彼女…でもあります。」
「は??え?お前と柚花さん付き合ってんのか!」
「はい。3年前から。」
「うわー、まじかー。」
浩紀先輩は焦った顔をしてる。
「あのな…俺の兄貴の…怜…いるじゃん。西星のキャプテンの。柚花さんのこと狙ってるっぽいから注意したほうがいい。あの人いつなにをするのかわからないから、本当に。」
「…わかりました」
「…でも兄貴も柚花さんに彼氏がいることは知ってたらしいから…でも…うーん…」
浩紀先輩はそこで考えるのをやめ、一緒にみんなのところへ戻った。
戻ると、西星vs桜高の試合が行われていた。
相手はみんな3年。対してこっちは成先輩、宙夢先輩、洸先輩、渉先輩、一真先輩と2年も混ざってる。
西星は市内でも強く、去年の大会も準決勝で桜高と相手になり、西星が勝利し、桜高は県大会に進めなかったらしい。
しばらくバスケを楽しんだ後、西星の人達が帰ろうとしてた…が。
「……あ、ちょっといい?」
と、怜さんに呼ばれた。
「…兄貴…、宏太に何する気だよ」
「浩紀には関係ない話ー」
「関係ねえけど傷つけんなよ」
「はいはい。」
怜さんは浩紀先輩を突き飛ばした後、俺を連れていった。
「…柚花に聞いた。お前が柚花の彼氏か。」
「そうです。」
「…さっき浩紀にひっぱられて俺の恋愛話でもしてたか?あいつ…」
「してました。」
「…聞いてるなら話は早い。俺は本気だから。それだけ。じゃあね。」
怜さんは帰っていった。
怜さんがいなくなって数十秒ほど。
そこに宙夢先輩と隆司がやってきた。
「大丈夫か、宏太」
「大丈夫です。全然。」
そう答えると宙夢先輩は舌打ちをした。
「それにしても怜も中学のあの時と変わってねーな、中学の時から。あれで西星のキャプテンかよ。」
「あの時…とは…?」
「…南聖中での話。俺の彼女のこと好きだったから、あの時の怜は。」
「…そういえばそんなこと、ありましたね。部活の時の先輩同士の大喧嘩にはびっくりしましたけど。」
「そうだな隆司。…まあ、怜はあんなやつだけど宏太お前負けんじゃねーぞ、」
「分かってます」
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