Ｓｔｏｒｙ
本編短編

(水嶋拓哉)






…いつまで、この状態がつづくのか。




はじめに起きたのは、中２の６月のこと
それは突然のことだった。

あの日のことは今でもはっきり覚えてる。

部活を終え、家に帰宅すると、玄関が荒らされていた。
丁度姉ちゃんの涼夏も帰ってきて、二人で唖然としていた。

二人でリビングに行くと…
部屋中に血の跡、薬、そして避妊具。
何があったのかと聞く前に、母親の身体の状態でわかった。きっと、父親にされたんだろう。

あの日以来母親と顔を合わせることはなくなった。
父親は…


とにかく暴力。女性には性的暴行。

性的暴行に関しては姉ちゃんも何回もされそうになって俺がそれから殴られっぱなし。
ついこの間も３日ほど学校休んだ俺にプリントを届けに来た舞花にも手を出そうとしていたらしい。




特にひどい時は遼太の家で過ごすことも少なくはない。遼太の姉と俺の姉ちゃんが小学生の頃からの親友ってのもある。

今日も、それで遼太の家に来た。


「…水嶋先輩、最近元気ないですね。」
「最近ってゆーか、いつもだな」
「…そうですよね…。舞花ちゃんも言ってました。表は明るいけど私や遼太の前ではきちんと本音出てる…って。」
「お前らが一番信用できるんだよ。遼太もやっと受験とか終わった時にこんなんでごめん。あと聖羅さんにも迷惑かけてるし」
「別に構いませんよ。」

こいつ…遼太がいなかったら俺は今頃どうなってなんだろうか。いや、暴れてたり病んでたり色々してそうだ。
遼太は舞花と家が隣で幼なじみ。ちなみに俺も歩いて５分ちょっとで着く距離だけど。小学生の時に舞花と仲良くなって、更に遼太とも仲良くなったから…今ではあの時出会えてよかったと思う。



「最近はどうですか…？先輩のお父さん、」
「…俺の身の回りの人への性的暴行がひどい。姉ちゃんも何度もされかけてるしついこの前に舞花もされそうだった。」
「え、舞花ちゃんも…ですか」
「うん。」


舞花がされそうになった時は俺がとっさに止めた。俺はいつもどおり暴力を受けるが舞花が傷つくよりはずっと良い。そう思ってたから。









「拓哉…黙っててごめんね。私、九州の福岡にある大学に春から通うから…。もう合格もしてる、」

いきなり、姉ちゃんにそう言われた。

「…は？」
「お父さんのこともあるからって、お父さんと拓哉には内緒にしてお母さんにだけ相談してたの。お母さんの実家で暮らすからお金とかは特に問題はない。」
「…なんで俺に黙ってたんだよ」
「お母さんがだまっててって。」
「は…？」

「…拓哉、ごめんね。」


姉ちゃんは、俺に泣きながらそう言った。

黙っていたのは正直腹たったけど、今姉ちゃんまで離したら俺はどうなるんだろうか。そう思ったのもあり、しっかり受け止めた。










それ以来、俺は今まで以上にイライラしたり暴力ふるったり、多くなったと思う。

そのすぐの四月に暴力起こして試合前に停学になったりもしたし、部員との喧嘩も少なくはない。




…いつまで、このままんだろう。