(南悠希)



    「南くんって成績良くてスポーツ万能だし部活ではキャプテンでしっかり者だし、完璧だよねー。構見た目も好みだなー。」
    「すごいよねー。」

    俺の近くで、そういっていた女子がいた。
    …まあ、別に俺の話するのは構わないけど…。

    あんまりそういわれるのは好きじゃないっていうか…。






    「…また言われてたよな。ほんとすげーな、お前」

    部活の時に伊月に言われた。

    「すごいもなにも、すごいと思われる方が嫌なんだ。」
    「別に…褒められて嬉しくないことはないだろ…?」
    「そーだけど…褒められるのはいいけどさ…あー、なんていったらいいんだ。」
    「…悠希の場合はどれも完璧って思われてるから嫌なのか?」
    「多分…。人ってそんな完璧な人なんて相当いねーだろ。」
    「まーまー…。とにかく放っておこうよ、そう言ってる人達のことは」


    この日の練習は前半は体育館練習。後半はバレー部が体育館を使うため外周だった。

    「今日は風が強いから体冷やさずに。しっかり集中しろよ。」
    そう顧問の先生が言ったあと、走り始めた。




    始まってしばらくたち、休憩。
    やはり1年生はまだ体力的に追いついていないのか。
    人数のこともあって中体連で1年は出さないけど。


    この日の部活の終わり頃に、桜高バスケ部との合同練習の話をされた。

    …桜高…か…。

    今のところの第一志望は西星高校の特進科。
    西星はバスケ部がつよくて特進科の成績もトップ。
    西星志望って言っただけで

    「やっぱすごいよねー。」
    「さすが!」
    とか言われるんだ。





    桜高との合同練習の日。

    桜高バスケ部は成先輩、直哉先輩、俊太先輩がいて、他にも名前だけ、顔だけ知ってる人も多かった。


    「今年はどうか?」
    幼なじみである成先輩に聞かれる。

    「まあ…そこそこですよ」
    「キャプテンとしてはどうだ?」
    「…なんとか…やってます。思ったより出来ない事多くて。プレッシャーも多いです」
    「そうか。」



    合同練習は楽しかった。
    やっぱ高校生は違う。俺なんてまだまだだよ。
    そして俺は凄くないんだよ。言い聞かせたい。



    「今年の中体連の結果、楽しみにしてるよ」
    直哉先輩にそう言われた。
    「はい…。三連覇、かかってますもんね。」

    「今年、中央中がすごいらしいね。エースの2人も俺らの顧問が注目してる。あ、乱入ごめん」
    「…さすが一真だな、情報豊富。」
    「情報、ありがとうございます。中央中…ですか。」


    中央中…。最近すごいって俺も聞いていた。よく 。
    実際試合したことはないけど。



    「あ、悠希、桜高、こねーか?」
    成先輩に聞かれた。

    「桜高、ですか…。」


    桜高行くって言ったら気が楽になるのかな、
    桜高もそこそこ頭良い人はいっぱいいるし。




    「考えておきます」




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