(水嶋拓哉)


    君には届かなかった。
    初恋は届かなかった。
    君には想い人ができた。
    君には彼氏ができた。


    去年俺は、長年の想いを伝えた。これで俺の長年の初恋は終わった。君には好きな人が。いくら頑張っても振り向いてくれなかった。




    このまま恋愛しないまま高校生活は終わるのかな。もっと高校生らしいことしたい。俺は進学しないから部活の引退は1月に全国大会がある大会。まあ、まだ全国行けるかと言えばわからないが。去年は全国ベスト16に入った。

    …部活以外で、高校生活でなにかあったっけ。恋愛といえば舞花に告って振られた。家族関係…はもう論外。

    恋…か。












    部活帰り、一人で歩いていると突然、肩を叩かれた。

    「やっほー!拓哉久しぶり!」

    中学の同級生、本川玲来だった。玲来は舞花や彩子と仲良かった。西星の制服を着ている。ああ、たしか商業科だっけ。

    中学時代、こいつに告白された覚えがある。でもあの時はまだ舞花以外はピンと来なかったから振った。



    「玲来も相変わらずだな」
    「なにが~?」
    「いろいろ。多分会うの1年ぶりぐらいじゃね?」
    「前会ったのって中2のクラス会だっけ。舞花にはよく会ってるけど。彩子と拓哉は本当に見ない」
    「彩子は俺もあんま見ねえよ。」
    「こう考えたらさ、拓哉って中学の同級生だと女子のほうが仲良い友達多くない?」
    「そりゃあな。サッカー部でいろいろあったし、第一中のいけばよかったって何度もお前に言ったしな」
    「あー言ってた言ってた。高谷とか幸田たちでしょ。あいつら西星の工業科だったけどタバコ何度も見つかって去年学校辞めたよ」
    「まじでか。 」

    高谷とか懐かしい。あいつには散々な目に遭った。第二中のサッカー部はどっちかというとかなり荒れてて、俺も辞めようと何度も思ってた。でも、辞めれなかったっけ。


    「また家のこととかいろいろあったら私の家きていいよ?兄ちゃんも心配してるし」
    「うん。いくわ。遼太んちばっか世話になってるわけにもいかねえし。あと半年で卒業して就職だし。家出れるし」
    「卒業したら家出るのね。私も就職だよ。南市で。一人暮らしする。」
    「あ、俺も俺も。南市」
    「まじで??んじゃなにかあったら会いにいけるじゃん」
    「だな。」



    この日はたくさん喋って帰った。玲来は昔から本音言い合える仲。小学校も一緒だったけど仲良くなったのは中1かな。










    その4日後のこと。
    家に帰るとまた父親が薬を使っていた。なんで捕まらないんだろう、っていつも思う。
    喧嘩はしたものの、持っていくものは持って、裏庭から出ていった。

    まあ、いつものことだ、もう慣れた。
    あとは卒業を待つだけ。

    よく、「母さんのとこいかねえのかよ」って皆に言われるけど、行く気もしない。ばあちゃんの家にいるらしく、だとしたら北岡中あたりだし、母さんには会いたくないし。ちなみに今年の4月やっと親は離婚した。




    少し歩くと、玲来がいた。

    「拓哉、やっぱりね」
    「聞こえてた?」
    「いや、私じゃなくて兄ちゃんが拓哉の家の前通ったとき聞こえたって言ってたよ」
    「え、京治くん帰ってきてんのか。うわー、恥ずかしいな」
    「うん。今日うち来る??」
    「そーするわ、」



    玲来の家は久しぶり。多分、中2以来。
    玲来の兄の京治くんは玲来の2つ上で東商にいたときは男子バレー部の主将だったとか。


    「なんか置き手紙あるんたけど…は?」

    玲来が手にとった置き手紙にはこう書いていた。



    「京治がかえってきたことだしおばあちゃんちに2泊します。玲来も来たかったらおいで」






    「え、まじで?京治くんに会えないの?」
    「なら帰っていいよ」
    「そっちのほうが無理」
    「まーいっか、どーせ拓哉だし」

    京治くんに会えないのはかなり残念だけど、家に帰りたくないし、だからといって今頃遼太んち行くわけにもいかねえし、しばらくは玲来と過ごすわけだ。




    ご飯食べて、お互い風呂入って、までは良い。

    「まって、兄ちゃんの部屋の鍵消えた」
    「は?え?まじかよ」
    「多分兄ちゃん持ってきやがったな。兄ちゃん絶対部屋見られたくないからってな。いつものことだししょうがないけど親の部屋いったら怒られるし、じゃああと私の部屋しかないよ」
    「…別にそれでもいーけど」
    「私も別にいーけどさ、拓哉がそーいう目で見てきそう」
    「まー俺も健全な男子高校生ですから」
    「こわー、」
    「嘘だっつーの。」


    玲来の部屋は昔からいつも整頓されて綺麗な部屋。俺の姉ちゃんとは大違いだ。



    2人でベッドに座った。

    「なんか、懐かしいね」
    「何がさ」
    「いやー、中学の時私告ったじゃん、拓哉に」
    「あったな。確かここで」
    「あの時拓哉は自分のことで悩んでた時だったよね。…ごめんね。今更謝るのもあれだけど」


    玲来がそう言ってしばらく沈黙が続いた。その後玲来が一瞬だけ俺に寄っかかった。

    「あ、ごめん、眠くてつい……きゃあ!」

    俺は玲来を押し倒して、キスをした。

    「な…、」
    「今俺がお前に付き合ってっていったらお前はなんて答える?」
    「え、今、?」
    「そうだ。」
    「え、なにこれ、拓哉は好きなの?私のこと」
    「…さあ」
    「そんな中途半端な気持ちで!?」
    「中途半端じゃねーよ!!」

    俺は怒鳴った。のには意味はある。
    好きかどうかと聞かれる前に、付き合うのはこいいつじゃないとって思った。ただ、人を好きになるのが怖い。内心はそう。でも俺のもう片方の心は、こいつに想いがあるんじゃねえのか。

    うまく言葉にはできなかったけど、玲来にはそう伝えた。

    「…それって好きってことじゃん。あんた、いつから舞花じゃなくて私に向くようになったのさ」
    「知らねえよ、それは」
    「あっそ。あ、付き合うかどうかっていう質問には、はいって答えるね。」
    「いいのか?」
    「もちろん。」

    もう1回キスをし、そして二人で眠りに入った。











    「え、なに、拓哉と玲来ってつきあうことになったの!?」
    「おー、おめでとうございます!」

    つぎの日、2人で舞花の家に行くとついでに、報告した。舞花の家には遼太もいた。

    「最近リア充増えてきますねー。」
    「いや、お前もな」
    「いやー、俺も含めて。」
    遼太の言葉に、みんなで笑う。





    恋愛ってやっぱ難しい。けど、玲来と歩む道はまた違うものなのだろう。
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