(高藤洋)





    「…洋ってさ、花蓮と別れてから恋愛してる?」
    7月のある日、突然宏太に言われた。

    …俺の元カノ、櫻井花蓮は、同じバスケ部の宏太の双子の妹。
    小6から中1まで、付き合っていた。


    「いやー、してないよ。」
    「…花蓮もだよ。でも洋って結構モテるじゃん」
    「いや、告白はされてたけど…なんか…新しい恋をしたくないっていうか…」

    …そう。俺は花蓮と別れてから彼女を作らないどころか、恋愛もしていない。

    なんていうか、まだ…未練…あるのかな…。
    お互い納得いく感じで別れたけど、やっぱ…。

    他の人を好きにはなれないし、好きになる気はない。
    告白されても、あまり興味はない。
    仲良い女子って言っても花梨や莉緒ぐらいだし、2人は恋愛対象までは見れない。
    やっぱ、俺には花蓮…なのかな。



    夏休み、俺は3年ぶりに前住んでいた町に行くことになった。
    部活を終え、午後から。


    「おじゃましまーす…」
    宏太の家は久々に入る。多分、三年前のあの日以来かな。
    そして…

    「…洋、久しぶり」
    花蓮と対面するのも、久しぶり。

    「久しぶり…花蓮。」
    「話は宏太にたくさん聞いてる。」
    「だと思ったよ。」



    この日は久しぶりに宏太の家の近くの公園にいくとこになつまた。ここの公園でよく俺と宏太はバスケの練習をしてて、花蓮もいつも付き添いでいたなぁ…。懐かしい。
    ここの公園の近くには俺の前住んでた家があるが、もう他の人に買われてるようだ。


    「久しぶりに1on1やろーぜ!」
    「おお、いいな!やろ!」

    そんな感じで始まった。
    久しぶりにこの公園でやるのもいいなぁ。


    「えっと、今回は洋の勝ちだね。久しぶりに二人の試合見れて楽しかったー!」
    花蓮にそう言われた直後。


    「あれ、宏太たち…?」
    と、宏太は声をかけられた。

    俺も見覚えはある。

    「おー、将平か!久しぶり」
    「久しぶり…ってお前の後ろにいんの…まさか…」
    「ああー、洋だよ。高藤洋。覚えてるか?洸先輩と渉先輩の弟で…」
    「覚えてるよ。…転校して以来か…」

    こいつ…将平…工藤将平は俺の怪我のことを責めた中の1人だ。

    「…そして花蓮も一緒なわけか。この光景久しぶりに見たな。」
    「うん。もう…俺と花蓮はとっくに別れてるけどね。俺もここ来るの久しぶり。」
    「なんか…今こうやって話せるの不思議だな。あんなこと言っといて。」
    「いや、全然。」


    将平とはそのあとたくさん話した。
    聞けば、南高らしくて。南高バスケ部のキャプテンは洸兄ちゃんと仲の良かった陸也先輩らしい。
    あと、去年の中体連の県大会の俺ら中央中の活躍も見てたらしい。
    将平と別れて、公園からの帰り道。


    「あ、おれちょっと中学の方に用あるから二人で喋ってていいよ!5時までには戻ってくる!」
    といって宏太はいなくなった。

    「急に二人か…」
    「そうだな」
    「ねえ、洋。」
    「ん?」
    「あれからさ…洋は恋愛してるの?」
    「…してない。じゃなくて、できない」
    「なんで…?」

    …これは…言ってもいいのだろうか。

    「まだ俺、花蓮のこと好きみたい」
    「え、え、え、あれから三年もたってるのに?」
    「うん。」
    「……まあ私もそんな感じかな。…今すぐは無理だけどさ、また…付き合えたら…付き合って…いいですか…?」
    「もちろんだよ」

    俺は花蓮のことを数秒だけ抱きしめた。

    まあ、確かに洸兄ちゃんたちや渉兄ちゃんたちのようにラブラブなカップルにも憧れてるけど、
    こうするのが一番なのかな。

    とにかく今日は、とてもいい1日だったと思う。
    また、ここに来れたらいいな。
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