(橋本響)
いつのまにか彼女に惹かれていった。
彼女そのものに惹かれていった。
未香と付き合って3ヶ月がたった。俺は告白された側だし、最初はまあ、普通に中学のパートの後輩としてしか見れなかった…のかな?いや、そこらへんは曖昧。
でも付き合っていくうちにだんだんと彼女に惹かれていった。俺も彼女に惚れていった。愛おしくなった。恋愛ってこういうものなんだ、って思った。
元々、中学の時は同じ吹奏楽部でパーカッションパートだった。副部長も一緒にやってたし俺からしては後輩の中でも一番関わりあった。部活でもパートの同期の女子でさえ部活以外では話さなかったのに、未香は違う。
こんなに関わりを持たせてくれたのはほとんど航平先輩のお陰だけど、中学の時は恋愛とかしなかったどころか、できなかったから…。
そこらへんはまあ、口を閉じて…っと。
「響先輩、」
入ってる吹奏楽団の練習を終えて帰るとき、部活帰りの未香に会った。未香は春日高校の吹奏楽部で中学と変わらずパーカッション。
「今部活帰り?」
「そう。響先輩は練習帰りなの?」
「うん。」
「響先輩、せっかく強豪西星高にいるのに吹部入らないってほんとに勿体ない」
「まだそれ言う??同い年のパーカスの奴ら上手すぎるしさ、あの高峰詩菜もいるし入んなかった」
「響先輩、詩菜先輩のことほんとに嫌いだよね」
「同じクラスだけどなー。」
詩菜は本当に無理。高校はクラス替えないからクラスずっと一緒だし、中学の時の件もあって耐えられない。あいつが白商落ちてなかったらいい話だったのにさ。
そもそも俺が西星来たのは商業系のとこ行けって言われてたからと、その中で一番近かったから。
「これから時間あったりする?」
俺は未香に聞いた。
「時間あるよ。」
「よっしゃ。母さん彼氏の家連泊してるからいなくて暇なんだよね」
「え、じゃあ泊まりたい。金曜だしいいしょ?」
「いいよ。でも何するかわかんねえよ?」
「あ…はい」
未香は突然固まった。
「言いたいことわかってる?」
「…ま、まあ…もうそろそろとは思ってたから…」
「え、何。未香はそんなに俺とエ…」
「や、違うし!!」
「誤魔化しても無駄無駄。どーせやるんだし…」
「え、本気だったの」
「最初から本気だけど」
もうそろそろ我慢の限界だったから。
こんなに可愛い彼女をちゃんと愛しきれてないって考えるとさ。
夜の11時ぐらい。今までリビングでテレビを見ていたが、未香は俺の部屋に向かった。それを俺は追ってった。
「響先輩ってかなり積極的な人だったんだなって」
「物事は積極的にやるよ?」
「物事もそうだけど、私に対してさ」
「…好きだからに決まってんだろ」
「…ありがと。私もたまには積極的になるね」
そう言ってキスをしてきた。
「や…未香可愛すぎ」
「ありがとう。響先輩。」
「もうそろそろ先輩つけなくていーよ?呼び捨てがいい。」
「えー…」
「襲うよ?」
「元々そのつもりじゃん」
「そーだけどさー。ねえ?」
「まだ、いいですー。」
「んーじゃあ、」
ベッドへと押し倒した。
今までで最高な時間だった。
本当に大好きだ。愛してる。
「…未香、愛してる」
「…ありがとう、…響。」
「やっと先輩とれた」
「えへへ」
次の日、2人で歩いてたらたまたま中央中出身の西星吹部の人達に会った。部活帰りだろうか。…てことは3年生ながらまだ部活に残ってるらしい航平先輩と、あとは詩菜とののちゃんと実月か。
「あれー!未香ちんと響先輩!」
ののちゃんが気づく。
「うっわ、ほんとだ!付き合ってんのかよやっぱり。未香はなんで響なのーこいつのどこがいーのー?」
「詩菜、やめなさい…」
親みたいに航平先輩が詩菜を止める。
まあ、教室でも、未香可愛いのにもったいなさすぎるーとか俺の前で平然と言ってるからねこいつは。
「それにしても未香ちんも可愛くなったよね…」
実月が言う。
「やっぱそれはその…恋の力ってやつ?」
航平先輩も笑いながら言い、実月は返す。
「航平先輩も人のこと言えないですよ!星菜と付き合ってからかっこよくなってっているし星菜も星菜で可愛くなっちゃって…」
「やっぱりみーちゃん変わらないね」
未香が言った。
てか航平先輩って星菜と付き合ってるのか。
もしかしてたなばたの代のパーカスで遊んだ時に言ってた彼女って星菜のことか。
「まあ、幸せにな!」
航平先輩が俺らにそう言った。
「航平先輩もですよ!」
俺がそう返すと航平先輩は照れてた。
恋愛ってこんなに楽しい。辛いこともあるけど本当に素敵な時間を過ごせている。とにかくこいつが好きだ。
「なんでさ、未香は響を選んだんだと思う?」
昼休み、食堂でたまたま会った駿介先輩に聞かれる。
「…何でなんでしょうね」
「あいつはな、響の様々な所に惚れてる。」
「例えば…?」
「熱心なところ、協力してくれるところ、ノリが良いところとかいっぱいあるけど、やっぱり一緒にいる時に見せてくれるかっこいいところ。だってさ」
「聞いたんですか」
「うん。家すぐそこたから会うんだよな」
そんな風に思ってくれていたんだ。
中学の時から俺のこと支えてくれた中の1人が未香。家庭の事情とかもあって沢山世話になった。正直俺があいつにしてあげれることは何だろって思っていた。
「未香の幸せは、響と一緒にいれること。それだけだって」
俺がしてあげられる一番の事は、一緒にいてあげること。
とにかく君が 大好きだ。
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