(小原遼太)





    渉と七田は、ちゃんと話し合うことになったらしい。

    丁度その話は宙夢先輩に聞き、更にその話を聞いていた光樹先輩が、俺が渉のところへ行くように命じた。

    その時の渉のあっけない態度には腹が立った。




    「部活、来いよ」
    俺はキレながら渉に言って体育館に戻ると、とっさにやってきたのは一真だった。

    「…どうだった?」
    「なんとか。話し合いはちゃんとやったみたい。」
    「そうか。」

    七田は渉のことがあって恋愛に怯えてる。と色んな人に聞いた。確かに、あいつが俺に前の学校での話をするとき、一人で騒いでいた。っていうか独り言が多かったっていえばいいのかな。とにかくそんな感じ。



    渉本人からの話もちゃんと聞いておいたほうがいいのだろうか。その日の部活終了後は渉を呼んだ。勿論、一真も話を聞きに来た。

    「…どうした。七田のことか?」
    「…できる限り教えて欲しい。何があったか」

    俺が渉にそう言うと、渉は語り始めた。

    「…まぁ、そういうこと。一真たちと試合した中体連の県大会明けに別れた。それであいつはすぐ転校したわけで。」
    「…そっか。」


    よく話を聞けば渉も悲惨な目にあっていたんだな。
    宙夢先輩も渉がなる前に同じ目にあったらしく、宙夢先輩も彼女だった…そして、一真の初恋の人と別れたらしい。
    それがわかっているからこそ、七田は逃げても結局怯えてたってわけだ。







    次の日の昼休み、一真に呼ばれた。

    「…渉と七田はちゃんと話し合った。だから次は…」
    「わかってるよ。俺らの番だろう。」
    「これでやっと、俺らが本気であいつに向き合えるってわけだ」
    「…一真には負けたくねえけどな」
    「それはこっちのセリフだ。」



    結果、どっちも負けっていう可能性もあるかもしれないけど、
    俺も、いよいよ本気になるかな。


    …と、いってもどうすればいいのか。



    「…ってわけでさ…」
    「…とうとう、遼太も一真くんも本気になれる時がきたんだね」
    「…ただ部活に支障が出るのはやめてくれよなー。」

    部活帰りにたまたま会った舞花ちゃん、そして洸先輩、成先輩に俺は話した。

    「…まあ、とりあえずアピールだよな。」
    「なんか成らしい答えが出た。アピールっていっても今は3人ともクラス違うらしいじゃん?」
    「…何か他にも接点はないの?」

    「…美化委員…しかないですね。俺も一真も、多分。」

    クラス違うとそりゃ話す機会もへる。
    今年は七田とクラス離れるのがはじめてだから…。


    「美化委員か…。私も宙夢も美化委員だけどさ…。なんかこう考えたらちょっとでも関わりある人多いな~。渉くんもいるしさ。」
    「…たしかに良く考えたらそうかも。」



    話をたくさんし、俺と舞花ちゃんは成先輩たちとわかれた。

    …決めた。
    俺は…一学期中には告白するよ。
    …七田にな。
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