(藤村 舞花)





    音大進学!と決めたものの、まだどこを受けるとか決めていない。でも、進路決定の面談は2週間後。


    近いところでいったら北都音大か桜月音大。
    桜月は桜学園系列だから、この桜高からも受験する人はけっこういるらしく、推薦枠も多い。
    一応どちらとも洋介と理彩と共にオープンキャンパスは行った。理彩は推薦で、桜月を受けることになったらしい。


    この日は部活終わった後、練習するためサックスパートで会館に向かった。
    会館は桜中央中付近にあり、後輩の凌平の親戚が運営してるということで、よく無料で貸してくれている。



    「おーい凌平、忘れ物だー、譜面忘れて何練習すんだよ」
    と、こちらにやってきた…えっと…

    「あー、すまん、兄ちゃんサンキュー」

    そう、凌平のお兄ちゃん!


    この春桜高サックスパートにやってきたバリトンサックスの凌平のお兄ちゃんがたしか、
    北都音大の吹奏楽コースの2年生だったはず。


    「っと、あれ、オープンキャンパス来てた子だよね?吹奏楽コースの…」
    「あ、はい、そうです。藤村舞花です!」
    「やっぱねー。蓮希の小学と中学の後輩ちゃんだっけ。弟の凌平がお世話になってます」
    「はい…!」

    「あれ、兄ちゃんと舞花先輩面識あったんだ」
    「あー、ついこの間のオープンキャンパス来ててそれでねー、俺と同じ打楽器の後輩とこの子仲良いからちょっと喋ったんだ」


    そこで先輩は あ、と思い出しながら
    みんなに自己紹介してなかったね、と言って自己紹介をはじめた。


    「っと、俺は黒川航平でーす。中央中出身、西星高校普通科出身で今は北都音大の吹奏楽打楽器コースにいるよ。で、この凌平の兄でーす。よろしくー」

    私がよろしくお願いします、と言うと先輩は


    「…舞花ちゃんは大学決めたのか?」
    と私に聞いてきた。

    「…まだ、迷ってます。北都か桜月で」
    「桜高だったら桜月のほうが受験しやすいけど、北都もいいところだよ。吹奏楽コースがあるのはここらへんでは北都だけだし、プロの吹奏楽団目指すんだったらオススメするかな。」

    プロの吹奏楽団…か…。
    吹奏楽を続けるなら、プロの吹奏楽団に入りたいとは思ってる。






    面談の日、私は北都音大を受験すると言った。



    面談を終え、部活に向かおうとすると洋介がこちらにやってきた。
    「舞花、北都音大にしたんだ」
    「うん。吹奏楽コースがあるしね。」
    「そっか。俺は桜月受けるよ。」
    「じゃあ、バラバラだね」
    「そうだな。」

    洋介とはここで別れ、部活に向かった。


    「北都音大受験することに決めたよ!」
    とサックスパートのみんなに言った。

    「お、舞花先輩も兄ちゃんと同じ大学か…」
    「あ、凌平、航平先輩にありがとうございますって言っておいてね」
    「はい。俺も北都音大行きたいですー。」


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