(佐川由衣)





    冬樹と付き合って半年ぐらいの高2の4月。

    クラス替えがあって、冬樹はC組、私はD組と、離れてしまった。
    3年生はクラス替えがないから、もう同じクラスになれることはないだろう。



    移動教室から帰る時のこと。
    C組の女子が私の噂をしているのが聞こえた。


    「あの佐川由衣って、熊谷くんの彼女なんでしょ?」
    「たいして可愛くないじゃん。てか、ブス。」
    「愛莉から聞いたけど、B組の須田君とも付き合ってたらしいよ?そのせいで親友が自殺したんだって」


    …聞こえてますよーだ。
    ブスは認めるけど。



    「由衣、気にしないほうがいいって。ああいうのは」
    横にいためいなが言う。

    「…そうだけどさ…。それ以前に最近自信がなくてさ…。」
    「自信?」


    うん。自信がないのは本当。
    C組女子は可愛くて積極的な人が多い。
    そして、同じテニス部でC組の莉菜が言うには、クラスでも冬樹や高松あたりの男子はモテるだとか。

    最近互いに忙しくて一緒に練習さえできてないし…不安だ。


    C組女子は可愛いから…私に比べたら。





    …もっと、可愛くなりたいな…。














    たまたま部活終わる時間が同じだったのはその日から一週間のこと。


    「…こうやって二人でいるのは…久しぶりだな」
    「うん…。」


    それから暫く黙っていた。
    沈黙を破ったのは…私だ。


    「ねえ冬樹。私ってちゃんといい彼女になってる…?私、可愛くないし過去に…」
    「なってるよ。そして由衣は充分可愛いだろ。」
    「え、冬樹のクラスの女子のほうが可愛い子いっぱいいるじゃん…」
    「んなもん可愛いと思わねえよ。由衣だけだよ、可愛いと思うのは。」


    そう言って冬樹は私を後ろから抱き締める。

    「俺から逃げてくなよ…」
    「…うん。ごめんね」

    私からはキスをした。















    次の日、この前と同じ人たちがまた私の噂をしていた、とめいなと真里から聞いた。

    「路上でキスした」とか…。
    私への嫌みもまた言ってたようだけど、気にしない。

    冬樹がいいと思えば、私もそれでいい。

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